吃音について

言語症状(中核症状)

 吃音とは、「スムーズに話せないこと」だとされています。

 

 もちろん、緊張したり、気持ちが焦っている時にスムーズに話せないのは、吃音でなくてもよくあることでしょう。そのため、吃音のある人だけに見られる現象として、「繰り返し」、「引き伸ばし」、「ブロック」が、吃音の「言語症状」(中核症状)と位置づけられています。

 

繰り返し 言葉が連続して出てしまうこと(「おおおはよう」)。
引き伸ばし 言葉を伸ばして出してしまうこと(「おーはよう」)。
ブロック 言葉がなかなか出てこないこと(「……おはよう」)。

 

 また、言語症状には「適応効果」と「一貫性」、「場面差」と「変動性」などの特徴があることも指摘されています。

 

適応効果

同じ言葉を繰り返し言うと、徐々に言語症状が出なくなること。

一 貫 性  特定の言葉や文章で、言語症状が出やすいこと(苦手音など)。
場 面 差 特定の状況や相手、体調や気分などで言語症状の現れ方に差があること。
変 動 性  状況や相手、体調や気分などが同じでも、言語症状の現れ方が変わること。

 

 適応効果と一貫性、場面差と変動性は一見すると矛盾するようにも思えますが、これらが並行して生じることから、吃音は捉えどころがなく、そのせいで周囲から理解されにくい場合が少なくありません。

二次的症状

 スムーズに話せないこと(言語症状)自体、日常生活において様々な不便を生じさせる原因となるのは間違いありません。

 しかし、それよりも重要なのは、スムーズに話せないことを周囲から叱責されたり、からかわれたりすることで、次第に吃音に対してネガティヴな感情が生じ、次第に「吃音を隠したい」と思うようになる場合があることです。

 

 吃音を隠すための行動は「工夫」や「発話回避」と呼ばれ、以下のようなものがあります。

 

・話す時に力んだり、不自然に体を動かす。
・あのー、えーと等の空語句を多用して言語症状をごまかそうとする。
・吃りやすい言葉を吃りづらい言葉に言い換える。
・質問されても、吃らないために分からないふりをする。

 

 しかし、これらを駆使して吃音を隠そうとすればするほど、ますます吃音に対するネガティヴな感情が高まり、悩みを深めていくことになります。

吃音によって起こる問題

 工夫や発話回避に頼れば、その場をやり過ごすことはできます。しかし、吃音を隠していること自体がストレスとなるだけでなく、不自然な行動や言葉使いで相手に違和感を覚えさせてしまい、結果としてコミュニケーションに失敗することが少なくありません。

 

 そして、そのような失敗が繰り返されると、コミュニケーションに対する意欲が低下し、不安や恐怖が高まることで、話すこと自体から遠ざかろうとする「場面回避」が生じる場合があります。

 場面回避が重なれば、無業状態や引きこもりなど、深刻な社会不適応に陥ってしまうことにもなりかねません。

 そのため、吃音のある人に対しては適切な支援が必要とされているのです。

 

文責:横井秀明(言語聴覚士)